現地採用者の給与アップに追い風?シンガポールのビザ厳格化に伴う影響とは | Good Job Magazine (シンガポールでの就職・転職のあれこれをお届けするWebメディア「Good Job Magazine」です。シンガポール就職のコツ、就職体験談など、シンガ ポールでの就職・転職を目指す人に役立つコンテンツを配信します。)

現地採用者の給与アップに追い風?シンガポールのビザ厳格化に伴う影響とは


みなさんこんにちは、グッドジョブマガジンの濱口です。

シンガポールのビザが厳しい、以前と比較して厳しくなったという話がいろんなところで交わされるようになり久しいですが、皆さんの周りはどうでしょうか?

本日は実際のところどうなのか、という疑問に対して、実例を元にご説明できればと思います。

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そもそも、就労ビザはなぜ厳しくなったのか

シンガポール人の雇用を守るため、というのが大前提です。シンガポールは外国企業、外国人を多く受け入れることによって成長してきた国ですが、それに伴って国の重要な産業が外国人に奪われ始め、国内の失業率が高まったことが要因とされています。
ビザの基準は段階的に厳しくなってきており、直近の一番大きな変更点は2017年1月から施行されています。

就労ビザのEP取得に必要な最低給与基準額が、S$3,300からS$3,600に引き上げられることとなり、最低基準だけでなく、全体的に基準が引き上げられました。

 

就労ビザどのように厳しくなったのか

就労ビザにはたくさんの種類がありますが、一般的に日本人が触れるのはEPとSパスの2種類です。
実際に厳しくなったのはEPのみですが、EPが取得できない方がSパスでの採用を希望するため、Sパス取得の競争率が高まり、結果的にEP、Sパス共に取得が厳しくなってきています。

先述した通り、「EP取得に必要な最低給与基準額が、S$3,300からS$3,600に引き上げられること」となったのですが、最低基準が上がっただけでなく、各個人の基準も上がっています。

(例) ※前の数字は旧基準、後ろは新基準
20代後半 慶応大学卒 $3,800→$4,300
30代前半 同志社大学卒 $4,300→$5,300
40代前半 東京大学卒 $4,400→$5,900

 

また、EPを申請する前にJobsBank(政府が運営する求人ポータル)に求人を掲載する必要がありますが、
 (現在) 従業員25名以上の企業で、月給12,000ドル以下の求人が対象
 (2018年7月より) 従業員10名以上の企業で、月給15,000ドル以下の求人が対象
と、変更になりEPを申請することに少し手間がかかることになりました。

このような手間や面倒臭さは、企業にとって外国人を採用する際のハードルとなり、結果的にシンガポール国民を優先するケースがあります。

さらに、厳格なルールとして定められていないものの、外国人比率が高い企業ではEP取得に時間がかかったり、申請が保留のまま止まってしまったりと、基準額を満たしていても承認されないケースもあります。

 

実際のケース

以下は当社でご支援をさせていただいた方のケースです。
※ご本人の特定を避けるため、業界や職種は変更を加えて記載しています。

事例① 28歳 シンガポール4年目 Aさんの場合 (給与大幅アップ!)

Aさんは大学卒業後に新卒でシンガポール就職を果たし、約3年間同じ会社で勤務していました。英語を使った仕事ができることに魅力を感じてシンガポールに来て、そろそろ業務も慣れてきたため、もう少しキャリアアップを求めて転職活動をしていました。

新卒できたときは、EP取得基準額が3,500ドルだったため、それに合わせて月給3,500ドルで働き始め、転職活動をする際は3,700ドルまで昇給していました。
しかし、新しくEPを取得するためには4,400ドルとわかり、そうなると大幅な給与アップとなるため、最初は不安を感じていたようでした。

実際に転職活動をしてみると、4,400ドルでもEPで採用したいという企業が多くあり、特にAさんはシンガポールでの経験もあったため、結果的には希望の条件で転職することができました。

 

ポイント:
・ビザの取得基準が全体的に上がったことにより、4,400ドルという基準は比較的低い基準となった
・採用するためにはEPを所得しなければならず、必然的に給与がアップした

 

事例② 35歳 シンガポール2年目 Bさんの場合 (転職できず日本に戻ることに)

BさんはSパスで採用された企業にて働いていました。
入社当時は、「うちの会社はローカル社員が多いから、ビザの心配はいらない」と人事に言われ入社を決めたそうですが、入社から2年が経ち、ビザの更新が必要になったタイミングで、解雇を言い渡されました。
背景を詳しく聞いてみると、元々EPで働いていた管理職を引き続き雇用したいけれど、EPの取得基準額上がりすぎたため、Sパスで雇用することとなったため、Bさんに発給できるSパス枠が無くなったようでした。
※Sパスは全社員に占めるローカル社員の比率によって発行数が決まっているビザで、給与の基準額が2,200ドルとかなり低い

引き続きシンガポールでの就労を希望していたBさんは転職活動を行いましたが、なかなかやりたいことと条件が合う求人がなく、結果的に日本に戻って働くことになりました。

 

ポイント:
・元々EPで働いていた方が、EPの取得基準が上がりすぎたため、ビザを更新できずにSパスでの雇用を検討され始めた
・Sパスは発給数に限りがあるため、Sパスを取得したい人の人数に対して求人数が少なく、競争率が高まった

 

事例③ 23歳 新卒 Cさんの場合 (新卒で高給与なポジションをゲット)

Cさんは海外の大学を卒業後、グローバルに仕事ができる仕事を求めてシンガポールで就職活動を行っていました。
持ち前の明るさと自頭の良さで、日本での就職活動も上手く進み、数社から内定をもらっているようですが、日本に企業に入社すると海外赴任ができるのは早くても3年後、、、であれば現地企業で働きたいと考えたようです。
Cさんは新卒にも関わらずEP所得基準額は4,100ドルのため、正直難しいのでは無いかと考えていましたが、語学力やコミュニケーション能力の高さが評価され、未経験ながらIT企業から内定を勝ち取りました。

日本の企業での内定と、シンガポールのIT企業での内定を比較すると、給与は1.5倍ほど高いことがわかり、すぐにシンガポールに来ることを決意されました。

ポイント:
・EP取得基準に引き上げられ、新卒で高給与なポジションをゲットできた
・新卒が応募できる案件は少ないものの、採用されるチャンスはある

 

まとめ

就労ビザが厳しくなったことにより、シンガポールに滞在できなくなる方がいらっしゃる一方で、大幅な給与アップや高待遇を得られる方もいらっしゃいます。
ビザの厳しさは一概に言えるものではなく、ご自身のスキルや経験、語学力などによって大きく変わってきますので、まずは諦めず、お問い合わせいただければと思います。

実際にシンガポールへ転職される方のバックグラウンドは千差万別ですので、ぜひお話を聞かせてください!

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